情熱と冷静の狭間。
展覧会が多い。
豊川で行われた「蜷川実花(にながわみか)」展は、華やかでエネルギッシュな夢世界と、うっすら本質が透き通る現実の狭間を渡り歩いた。
豊田市民芸館の「棟方志功(むなかたしこう)と柳宗悦(やなぎむねよし)」展は、仏教をモチーフとした版画から伝う棟方の情熱と、自然に溶け込んだ民芸館のコントラストが素晴らしかった。
名古屋市美術館の「アルヴァ・アアルト」展は、実にひっそりと行われていた。
まるで、師匠が誰にも知られることのない別荘にて招いてくれているような。
そこは簡素で、簡潔した場所。
自然のなかに息づくには、毅然とした美が必要であるかのような。
蜷川展や棟方展に比べて、ありあまる情熱は感じられない。
でも展示を見終わった後に、さまざまなドローイングを見た後に、いつまでも、アアルトという建築家の情熱が、ひっそりと、でも確かに感じられる。
情熱、そして冷静。
その狭間を、ゆらゆらと遊んでいるのが、もしくは戦っているのが、表現ということかもしれない。